RETINAL DEGENERATION

網膜変性外来

- 毎週 金曜日 午後

MEMBER

池田 華子、宮田 学、沼 尚吾、亀井 拓郎、緒方 真麻

CLINICAL OUTLINE

網膜変性外来では網膜色素変性をはじめ、錐体ジストロフィ、錐体杆体ジストロフィ、スタルガルト病、クリスタリン網膜症、先天網膜分離症、オカルト黄斑ジストロフィ、コロイデレミア、小口病といった遺伝性網膜変性疾患のほか、自己免疫網膜症や癌関連網膜症など一部の炎症性疾患を対象に診察を行っています。外来は毎週金曜日の午後で検査も含め予約制です。

外来での主な検査としては視力・視野検査、眼底検査、光干渉断層計(図)、眼底自発蛍光撮影(図)、網膜電図などを行っており、鑑別診断や病状の把握、進行速度の評価などに役立てています。また遺伝についての相談、興味のある方には現時点でどのような研究が行われているのかといった紹介もしています。臨床心理士さんや遺伝カウンセラーとも連携しています。ロービジョン外来では視力や視野が障害されてしまっていても残存する視機能を有効に活用できるような指導 や、行政、福祉面での情報提供を行っています。

遺伝性網膜変性疾患自体に対しては現時点では確立された治療法はありませんが、合併する白内障や黄斑浮腫の治療、適切な遮光眼鏡の装用で生活上の不自由がずいぶん改善されることもありますので、一度受診頂ければと思います。

また当外来では研究目的での遺伝子検査も行っており、これまで200人あまりの原因遺伝子を確定してきました。(図)原因遺伝子についてはいまだ分かっていないことも多く、現在報告されているものを全て調べても、半分程度の患者さんでは変異が確定されないというのが現状ですが、引き続き既知の遺伝子の変異検索を続けつつ、新しい遺伝子の同定を目指して解析を続けていきます。


光干渉断層計による網膜断層像の例
正常網膜に比べて網膜色素変性の患者さんでは視細胞のある網膜外層が薄くなっている像が観察されます。また網膜色素変性の患者さんの1-2割程度の方は黄斑浮腫を合併しており、これの治療によって中心視野の見え方が改善する場合があります。


網膜色素変性の広角眼底写真、眼底自発蛍光の例
色素沈着を伴う網膜変性や、網膜動脈が細くなる所見は網膜色素変性の特徴です。眼底自発蛍光でみると、障害されている領域は黒く写り変性の範囲がより捉えやすくなります。


次世代シーケンサーを用いた網膜色素変性の網羅的遺伝子診断の結果
日本ではEYS, USH2Aの二つの遺伝子が比較的多いですが、その他にも多くの遺伝子が原因となっています。