DRUSEN, DRY AGE-RELATED MACULAR DEGENERATION

ドルーゼン・萎縮型加齢黄斑変性外来

- 毎週 水曜日 午後

MEMBER

上田 奈央子、高橋 綾子

CLINICAL OUTLINE

加齢黄斑変性は早期加齢黄斑変性と後期加齢黄斑変性に分類され、後期加齢黄斑変性はさらに滲出型と萎縮型に分類されます。黄斑部のドルーゼンや色素異常(hyper/hypopigmentation)は後期加齢黄斑変性の前駆病変と考えられており、早期加齢黄斑変性に分類されます。ドルーゼンの中でもサイズの大きなもの、サイズがやや小さくても両眼性にみられるもの、中心窩に近い領域にあるもの、色素異常を伴うものは後期加齢黄斑変性発症のリスクが高く、さらにはドルーゼンが癒合拡大したconfluent drusenやドルーゼン様色素上皮剥離といった所見も高リスクであることが知られています。ドルーゼンとは異なる特徴を持つ網膜下沈着物であるreticular pseudodrusenは後期加齢黄斑変性発症のリスクがドルーゼンの2倍以上であり、後期加齢黄斑変性の中でも特に3型黄斑部新生血管(網膜血管腫状増殖:retinal angiomatous proliferation)と萎縮型加齢黄斑変性との関連が強いことが知られています。しかし、ドルーゼンや色素異常などの所見のみでは自覚症状に乏しいことが多く、また治療適応もないため、医療側も患者側も通院の必要性を感じず放置されていることが多いのが現状です。しかし、このような高リスク眼患者の中には、眼科を受診していたにも関わらずその後フォローがなく、何年か後に視力低下で眼科を受診した時にはすでに両眼に進行した滲出型加齢黄斑変性を発症しており、もはや治療を行っても視力改善が見込めない状態であるというようなケースもあります。

当外来ではこのような後期加齢黄斑変性発症のリスクが高い症例に対し、食生活の改善やサプリメントの推奨および定期的なフォローを行っています。滲出型加齢黄斑変性は現在治療可能な疾患であり、高リスク眼をフォローすることで早期発見早期治療ができれば予後を改善することができます。一方、萎縮型加齢黄斑変性は現在本邦では治療法がなく、進行は比較的緩徐ですが萎縮が中心窩におよべば深刻な視力障害を引き起こします。進行の早い症例や中心窩に及ぶリスクの高い症例については将来の視力障害のリスクを説明し、個々の症例に応じて適切な時期にロービジョンケアを導入しています。また、萎縮型加齢黄斑変性の経過中に黄斑部新生血管が出現することがあり、そのような場合には迅速に抗VEGF治療などを行っています。