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斜視手術の手術効果に影響を与える因子:
斜視手術後の眼位は変動します。特に外斜視では戻りが生じやすく、それを想定して手術を行うと、逆に内斜視になったりすることもあり、術後早期に再手術が必要になるケースもあります。また、上下回旋斜視に対する手術では、融像幅が狭いために、少しの変動で複視が再発してしまいます。そこで、長期手術成績に影響を与える術前因子を調べる研究に取り組んでいます。具体的には、術前の種々の因子をパラメータとして、手術効果と相関するものがないかを調べています。これまでに報告されていない術前因子が、上斜筋麻痺の術後経過に影響することが分かってきました。
前眼部OCTによる外眼筋の解析:
最近、外眼筋を前眼部OCTで無侵襲に観察することが可能となりました。当外来でも斜視手術前後に外眼筋を最新の前眼部OCTで撮影し、手術経過の観察に取り入れています。これらを調べた報告はあるものの、旧型の画像の粗いOCTを使用しているため、角膜輪部から外眼筋付着部までの距離を測定する程度にとどまっています。新型の前眼部OCTは外眼筋を詳細に観察することが可能であるために、既報より細かな解析をすることができます。
回旋偏位の加齢性変化:
大規模な疫学調査である長浜スタディーで他覚的回旋偏位を測定しています。カラー眼底写真から視神経乳頭と網膜中心窩のなす角をそのように定義しています。加齢により回旋偏位が増すことが北京スタディーで示されており、日本人でも同様の傾向があることが分かってきました。さらに北京スタディーでは報告されていない新たな知見も得られてきました。次期の長浜スタディーでは、新たな装置を使って斜視角の定量を追加で行っていく予定です。(宮田 学)